どんな商品やサービスが美しくデザインされていても、「売れる」ことに繋がらないとそもそもビジネスとして成り立たないので、どのお客さまもここは気になる部分です。
セオリーはあるのか
実は弊社もデザイン会社として、なにかセオリーがあるなら知識として仕入れたい、と思い、セミナーに参加したり、書籍を買って読んだこともありました。ただ、そこで語られることは「彩度62%以上で色を構成しないと購買意識がわかない」といった科学的なことではなく、「見出しを大きく」「人物写真を前に」とか、デザインの手法としてはごく当然のことばかりでした。加えて、本によって主張が微妙に違うのもなんとも言えないところです。
そもそもデザインが良ければ必ず売れるといったものでもありません。モノが売れるのは、その商品の良さや作り手の思い、価格、また受け入れる時代やターゲット層、気運といったものが複雑に絡みます。しかしながら、既に持っている良い要素を「伝える」ことに失敗するのだけは避けなければなりません。その重要な役割を担うのがデザインです。そして、「伝える」ための手法は、れっきとしたノウハウがあるので、ここは腕の見せ所ですね。
具体的には少しずつ説明できればと思いますが、大きくは目線誘導とカテゴライズに注意しています。読む人が自然に目を運び、それが発信者のストーリーの通りに進んでいかなくてはいけません。基本は教科書通り、横書きなら左上から右下に、縦書きなら右上から左下へ進みます。文字列が2段、3段組みになることもありますが、写真やイラストを効果的に見せるため、段組を無視して割り込ませることもあります。その際も文字の流れを見失わないよう、配置や色には気を使います。時々「原稿はあとから入れるから枠だけ作っておいて」というご依頼をいただくことがありますが、デザインとは飾りや枠のことではなく、あとから入れるその原稿そのものなのです。とはいえ、原稿を書く側のスケジュールも十分わかりますので、そういうご依頼でもとりあえずは作るのですが(笑)。ただ、大抵の場合、原稿が入った時点で作り直しになります。