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Image by Dong Cheng

千と希の設計図 web版 2024年10月号




中年親父の苦悩


 先日、取引先の社長さんと話をする機会がありました。「英会話の先生相手に身の回りのいろんなことを話しているんだ」と言うのです。「向こうは仕事だからちゃんと聞いてくれるよね」そして続けます。「だって、普段我々(年寄り)の話なんか誰も聞いてくれないじゃないですか」と。普段からがっきー社長が尊敬している立派な人なのにそんな扱いなのか…と、世の中の無常に肩を落として帰って来たのを覚えています。

 時代はどんどん流れ、自分の今ハマってるものがあっという間に前時代のものに

なり、培った自分の感覚が正しいのかもわからないまま、誰とも共有できない今日この頃…安堵感を得る同世代の人との会話も徐々に減っていき、世の中のおっさんは孤独が日常化するのであります。世紀末救世主として活躍したケンシロウは未来の人だったのに、もう20年以上前の人になりましたし、携帯すらなかった時代の冴羽僚の実写映画にUberEatsが出る違和感…

 そんな神谷明さん(ケンシロウや冴羽獠の声を当てた声優さん)に青春時代を牽引してもらったがっきー社長が率いるデザイン事務所では、今日も若いデザイナーの作品を見て良し悪しを指摘するわけですが、それが前時代的な感性をゴリ押ししているのか、普遍的なデザインの基準から的確な指示を出しているのかは未だ謎です(笑)。



「若い人よくやるよねー」


 今回は、若いデザイナーがやりがちなデザイン処理をいくつかあげてみます。


①ベタなグラデーション

…これはWeb(RGB)の影響もあるかと思いますが、印刷物の場合、ビビッドなグラデーションというのは思ったよりキレイに出ません。画面では美しく見えるので無理もありませんが…また、その上に載せる文字とのコントラストも大事です。古参ならそもそも広い面でグラデーションは使用せず、どうしても必要な場合にはテクスチャや隠し味的な色の配合を考えます。


② 背景の写真を薄くしちゃう

…背景に写真を敷いて、その上に文字などを載せる場合。カラー写真をそのまま下に引くと、ごちゃごちゃして収集がつかなくなることは往々にしてあります。その際、配置写真の透明度を落として凌ぐというのは素人の技です。カラー写真の透明度を下げると彩度が失われ、写真としての良さが全くなくなっていきます。ですので、パーセンテージはそのままに、写真の美味しいところがきちんと見えるように配置した上で、他はぼかしたりして消し、文字の視認性を優先させます。大抵の写真はその写真の持つ「核」の部分が見えていれば、他は見る側が無意識に補完するものです。


③ 漫画の読ませ方が逆

…ツイッター漫画の弊害というか、基本マンガはセリフが縦書きなので、右上から左下に向かって読んでいきますが、スマホで見る際に、普通に左上から右下に向かってコマが進むことがあります。ただ、一時期よりはまた元に戻ってきたようにも思いますが…ちなみに、誌面の目線誘導も同様です。お客さまから、縦組みと横組みがめちゃくちゃで、読んでいる人がどの順番で文章を読み進めるのかわからないようなレイアウトの指示をいただくことがあります。ある程度意向を汲みつつ、あまりにひどい時は指摘させていただく、という風にしています。



④ 明るい背景に明るい文字を載せる

…当然文字は見えづらくなるので、そこにフチをつけたり影をつけたりするのですが、それはどちらかというと対処療法です。デザイン上狙ってその表現にした、というのでなければ、明るい背景には濃い色の文字、濃い背景には薄い色の文字を載せるのが基本です。



今の時代を蔑む親父にならないように


 他にも細かいところはたくさんありますが、いろいろ考えてみると、若いデザイナーの問題というより「世の中の流れ」なのかな、とも思います。先日マーケティングの会社の社長さんとお話をさせていただいた際に話題に出たことをざっくりまとめると、昨今のデザインの流れは、Webデザインの影響が大きい、ということです。これは世の中にWebが広まったことで、経験の浅いデザイナーやそもそもデザインを勉強してこなかった人がデザインをするようになり、デザイン自体のハードルが下がったと同時にクオリティも全体的に下がってしまったということだと思います。もちろん優れたデザインを生み出しているWebデザイナーがいる一方で、という話です。

 文字配置の作り込みの粗さや場当たり的なデザイン処理、リアリティの薄い画像加工…これはデザイナーがきちんと直す、というレベルには既になく、それをディレクションする人、依頼する人、それを評価する世の中全体のスタンダードの問題で、もはや誰にも止められない流れです。「若い人に任せて老兵は去る」or「だまって柔軟に対応していく」のどちらかを、がっきー社長世代は迫られている、ということなのかもしれません。ただ、これは先人が証明していまして、残っていくのは間違いなく後者です。その文字の美しさに固執した故にデジタルデータ化しなかった写研というブランドについてある方が語ったセリフが忘れられません。「彼らは時代に負けたんじゃない、プライドに負けたのさ」。



 

引っ越しを経て、新たな場所で再スタートとなりましたので、改めて絵画教室についてご紹介します!「 デザイン事務所がひらく、やさしい絵画教室」では、絵を楽しむ体験をすることを第一の目標にしており、生徒さんそれぞれのペースでのびのびと自由に絵を楽しんでもらっています。


4つのコース


「子どもマンツーマン」「子どもグループ」「大人マンツーマン」「デジタル」、4つの中から自分の目的に合ったコースを選んで受講できます。マンツーマンでは生徒さん一人一人に合わせたペースで、レッスン内容もじっくり話しながら進めています。グループレッスンではおしゃべりを交えた明るい雰囲気の中、みんなの作品を見たりアイディアを共有しながら楽しく取り組むことができます。


出張絵画教室も承ります!


 大人数イベント「絵画教室もりもり」や学童での出張イベントで経験積み、出張教室が可能になりました。70~90分の時間内にクオリティのある作品を完成させられるプログラムが私たちの強みで、単発イベントも盛り上がり、みなさん満足げな様子で作品を持ち帰られるので、とても嬉しいです。




 

デザイン絵画教室がひらくだより


9月の課題

「ノートイラスト


学校のノート作りが楽しくなるプチイラストや飾り枠、文字の装飾を練習しました ! 作品としてまとめる内容は自由に考えてもらいましたが、みんなの好きなものが詰まった素敵なノートができました !


色や装飾に統一感があっておしゃれ!果物の表情がとってもキュート♪



ゆるっとしていながらも特徴をしっかり表現できています!




アンダーラインの色が惑星の色に対応していてわかりやすい!カラフルできれい!



言葉もレイアウトもわかりやすくまとまっていてすごい!早速作ってみようかな!




2色にまとめられていて、いろんなイラストがあるのに統一感がちゃんとあります!




家族みんなのイラストがかわいらしく、囲みの形が違うのも楽しい印象です!






●リクエスト作品



今月の課題以外にも、リクエストにお応えして好きな作品を作ることができます。ぜひいろいろな画材やモチーフにチャレンジしてみてくださいね!



毎回いろんな表情の猫を描かれています(右)

小学生の生徒さんが初めて手のデッサンに挑戦(中央)

水面に映る様子をきれいに表現できました!(左)



デジタルもめきめき上達しています。色合いが素敵。(右)

デジタルでまんがも挑戦できます!(左)




●最近のできごとぽろぽろ


新オフィス始動


段ボールも片付き、インターネット環境もようやく整いました。この場所で初めての撮影も無事終わり、これでやっと住吉オフィス本格始動です !




巨大シール貼り


絵画教室の看板シールは全長2m超え ! 2人がかりでなんとか貼り、窓をはめ直すのも一苦労。がんばって仕上げた入口には愛着が生まれました ! カラフルで目立つ !




試行錯誤の課題


試行錯誤の末に完成した10月の課題。いろんな素材や形を試して、みんなワクワクするミニジオラマになりました。大人も子どもも楽しめる課題です !






●杉並みんなの食堂レポート


9月10日第18回

「カツ丼」


今までやってきた救世軍杉並小隊での開催は今回最後でした ! カツ丼はボリュームたっぷりでみんな満足そうでした。この場所でのあたたかい空気を忘れず新しい場所で続けていきますので、応援よろしくお願いします !




 

■スタッフの声■

だいぶ暑さが和らぎました。体調に気をつけて過ごしていきたいです!(佐久間)

 

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